メゾン マルジェラの2025年「アーティザナル」コレクションは、フランドルおよびオランダの中世建築とその雰囲気に着想を得ています。彫像のようなフォルムは、教会のファサードに刻まれた聖人たちの姿を呼び起こします。

ショースペースの壁と床には、6つの異なる宮殿の内装をモチーフとしたイメージがプリントされた、紙のコラージュが敷き詰められています。
シルエットの垂直性とボリュームは、ゴシック建築の塔の構造を想起させます。さらにコルセットやドレーピング、視覚的トリックが加わることで、身体の構造を際立たせ、彫刻的な存在感が生まれます。

また、16世紀フランドル地方のレザー製フラワープリントの壁紙のイメージ、花や狩猟鳥獣を描いた静物画のコラージュなどが、三次元のフォルムとして切り出されることで、身体そのものがキャンバスとなります。

ライニング生地やヴィンテージレザー、廃棄されたジュエリー、プラスチック、コピー用紙などの収集した素材を衣服やマスクとして再構築することで、メゾンが掲げる「匿名性」のコードを象徴し、視線を顔からクラフトへと導きます。